わりと機能的でわりと薄い財布を試作した
けっこう前から目論むんでたレザークラフトによる自作の財布作り。まぁきっかけは巷で話題っぽい「薄い財布」の値段が高いのと、不満な部分があるので、自分で作っちゃえって話。
まずはこれが完成品。
設計
「薄い財布」を踏襲
手に取ったことはないけど「薄い財布」の薄さは魅力的。かといって小銭入れがあれじゃ絶対足りない気がする。今回は自分用に作るつもりで、かといって複雑なので、叩き台的試作。実用レベルになればもうけもん。
- 素材
- 薄さ重視なので今回も1.0mm厚
- 色は薄茶
- レザーコートを塗りカービングダイを塗ったときどのような色になるかテストを兼ねる - 機能
- 内側は薄い財布のアイデアをそのまま頂いちゃいました
- 札おさえの形、そこを切り欠きにするのもそのまま
- 札の収納方法もカード収納もそのまま6枚程度
- 内と外の間に回転式鍵収納
-「小さい小銭入れ」のシステムを頂きました
- その分のスペースに磁石入れて閉じ易くする機構
- 外側に大きく開口する小銭入れ
- 小銭入れと本体との間にもカードが入るポケット
- 電子マネーカードなど財布を広げる必要がないように
制作
下準備と切り出し
まず設計にかなり頭を悩ませた。最近失敗してるサイズ感。小さく作ってしまう傾向にあったので革の厚みの余裕などしっかりとる。そして可能な限り薄く、小さくを意識しつつも高機能を目指したので無駄なスペースを取らないような工夫。小銭入れの機構についてはもともと使ってた財布をかなり研究した。
そうしてできあがった型を切り出す。今回は床面の処理は黒で行なった。
型付けと染色
今回もまた縫う箇所の溝を引く。なくてもいいけど、あったほうがピッシリ決まるしなにより今回は複雑な構造の為に縫う場所を混乱しないようにもなる。そうしてできたパーツを湿らせて型をつけてか乾かす。
それができたら染色。カービング系の装飾は施さないのでけっこう楽。レザーコート塗って乾いたらカービングダイ、そして色止めとしてまたレザーコート。色は良い感じだけどムラができてしまったのはカービングダイの分量と完全に乾く前にレザーコートを塗ったからだろうか。このへんの加減はもっと上手くなりたい。
縫う前の準備
パーツができたら今度は組み合わせていく。まずは剛性保持の為にKindleケースで上手く行ったプラ板仕込み。同時に僕はウォレットチェインを付けたりもするのでカラビナもセットする。
内側にスエードを貼って後は、パーツを仮止めして、マグネットを仕込む。同時に鍵を仕込むための穴も空けておく。写真はないけど小銭入れの部分のマグネットも用意しておく。
縫いと仕上げ
パーツの重ね合わせがわかったら、菱目打ちで穴を空けていく。実はこの工程にかなり混乱した。仕込むものが多かったり、複雑な設計だったので貫通させるとことさせないところ、縫う順番を考えるのに苦労した。
貫通してないところを縫って、また穴を空けて縫ってを交互にやっていく。普通だと穴空けを全部やって、縫いをやって、となるところが設計上交互にやらざるを得ないのは実は初体験だ。
最後に小銭入れの部分を縫う。自分で思ってたよりピッシリ決まって良い感じ。
全部縫い終わったら、コバの仕上げ。今回は薄いために耐久性と接着が心配なのでコバスーパーで固める。角の部分も落としてヤスリで丸くして。
最後にワックスコートを塗って、磨いて完成
完成品と所感
完成品の写真をいろんな角度から各機能がわかるように。
- 成功
- なかなかの薄さと小ささが実現できた
- 札入れとカード入れの部分は良い感じに仕上がった。
- さすが本職のアイデア
- 小銭入れの感じもなかなか上手く仕上がった
- マグネットの感じも良好で小気味良く開閉できる - 失敗
- 一番大きな失敗は作った後に磁気カードにマグネット使用はマズいことに気付いた
- 実用不可が決定的
- 札が滑らず出し入れしにくい
- スエード貼りと内側にレザーコートは余計だった
- 小銭が出てきてしまう
- 内部的に隙間が大きめらしくちょろちょろ漏れる
- 鍵を出すのが出しにくすぎる
- 出せないことはないが指が入らないので苦労する
とまぁ、こんな感じで完全に失敗作になってしまった。試作だから良いけども。ただし設計の方向性は間違ってなかった。小銭入れを外に大きく出したにもかかわらず薄くなったのはかなり好感触。
やはり機能的なこだわりのあるものを作るのは失敗覚悟で試作して、使ってみて問題点を洗い出さないとだめだと思った。磁気が狂わないかビクビクしながらも今は日常的に使っていて日々改良案を模索してる。作るのも大変だったけど、設計に頭を悩ませて、作っていく工程でまた悩んでととにかく考えるのに疲れた叩き台になった。次こそは「僕の欲しい最強の財布」を作りたい。