『天穂のサクナヒメ』レビュー - 全てが調和した完成度の高い素晴しいゲームでした

先日『天穂のサクナヒメ』、クリアしました。発売後、稲作シミュレーションがリアルだと話題になり、そちらにばかり注目されていましたが、ゲーム自体は農業シミュレーションチックな稲作パートとメトロイドヴァニア的な探索パートが組み合わさったゲームです。

夢中になってやっていましたが、クリアまできてとても良いゲームだったのであらためて紹介したいと思ってレビューを書きます。

概要

  • 『天穂のサクナヒメ』、クリアしてレビューします
  • 稲作シミュレーションパート、探索アクションパートのバランスと調和が素晴しい
  • もちろん魅力的なキャラクターやストーリーも良かった

『天穂のサクナヒメ』isどんなゲーム?

『天穂のサクナヒメ』はPS4, Switch, PC(Steam) で発売されている和風アクションRPGゲームです。

大きくわけて稲作パートと探索パートにわかれています。

稲作パートは苗を準備する前の田起こしから始まり精米まで 、天候や病気、雑草、虫に気をつけつつ稲を育てその細かさにより話題になりました。

探索パートは俗に言うメトロイドヴァニアタイプで2D横スクロール探索アクションになっています。アクションも豊富でコンボや技、羽衣技などを駆使してスピード感と爽快感のあるバトルになっています。

主人公であるサクナの能力は稲作パートで良い米を収穫することで恒常的に上がるほか、良い食事をすることで一時的なブーストがかかります。つまり良い米をつくり良い食事をすることが自然と探索しやすさにつながります。また探索パートで取得した食材や肥料をつかって米作りと食事が良くなっていきます。

つまり、稲作と探索が相互に作用しあう関係にあります。

やる前に期待したことや懸念してたこと

アクションパートの面白さと難易度

まず懸念していたのは、アクションパートのやり応えでした。発売後、稲作部分の反響が大きく、アクションについて触れられていませんでした。個人的にはアクションのほうが比重が高く、アクションが簡単すぎたり作業感ばかりだったりするのではないか、と懸念していました。

これは良い意味で裏切られ、とても良質なメトロイドヴァニアでした。多彩な技でコンボもできますし、敵の体勢を崩してふっとばすことで他の敵にぶつけたり、など単純に楽しいです。さらに羽衣を使った回避や移動、ブロッキングのようなジャストガードシステムも含めて探索だけでも十分に面白いゲームです。

難易度も難しすぎず簡単過ぎず。油断すると普通に死にます。ですが、死んでもそのエリアに入ったところからやりなおしになるだけなので、ペナルティの心配なくリトライできます。敵が強すぎても、米を収穫すると能力値が上がるので、米作りを重ねることで進めるようになります。

稲作の難易度と要求される知識

稲作は専門用語や実際の稲の病気や虫害がでてきます。これらの知識なくすんなりプレイできるか気になりましたが、特に問題ありませんでした。

プレイ中に手に入る情報で十分稲作できます。常に最高品質を目指すとなるとこれらを細かく管理する必要がありますが、基本的にひどいことになることはありませんでした。リアル志向なところは知っていればより楽しめる味つけのような感じです。

とはいえ、稲作も簡単すぎず、水位や肥料、天候は常に気にする必要があります。わからなくてもできるなりに手をかけてあげる必要があります。

総合的な印象

ひとことで言えば「全てのバランスが調和していて完成度が素晴しい」という感想です。前述のとおり、稲作と探索が相互に影響しあっていますが、このバランスが素晴しかったです。

稲作のために探索で素材を集め、探索のために稲作で良い米を作る。まずこのバランスが基本にして絶妙にできています。

しかもゲーム内では昼と夜があります。夜は敵が劇的に強くなる変わりに良い素材を落とします。話が進んで食材に余裕がでるころ、夜も行動できるぐらいの力がついてきます。つまりそれまでより食材の消費が加速します。再び食材に余裕があまりなくなっていきます。

探索をしなきゃいけないけど、稲作にも時間を割かなければいけない、忙し楽しいです。

稲作も最初は原始的稲作なので手間がかかります。収穫量が増えるのに合わせるように道具によるイノベーションがおこります。より効率的に作業できるようになったり、サクナが作業になれたりして作業スピードが上がったりして、作業感を感じることもありませんでした。

探索も同じステージを何度も探索する必要がありますが、各ステージミッションがあったり、技の成長要素もあったり、季節によって素材が変わったりで苦に感じませんでした。

ストーリーもキャラクターも良かったです。最初はダ女神キャラなサクナも稲の成長とともに人として神として成長していきますし、一緒に生活を共にするキャラクターとも絆が生まれたり。どのキャラも魅力的でした。

ゲーム中では死生感や神、食に関しての話も出たり意外に鋭いメッセージも感じられました。合間ではお笑い要素もありシリアスとギャグ要素、カワイイとカッコイイ、いずれも調和がとれていた印象です。

そんなこんなで35時間程度でクリアとなりました。これはアクション主体のハーフプライスゲームとしては十分やりごたえありました(もちろんやりこみ要素があるので、完全にやろうと思えばもっと楽しめます)。

アクション主体であり、稲作と探索を繰り返す以上、これがクリアまでもっと時間のかかってしまう設計だと、作業感やマンネリ感がは避けられないかもな、と思ったのでボリューム的にも良い塩梅でした。

こんな人にオススメ

  • 2D探索アクション(メトロイドヴァニア)が嫌いじゃない
  • 育成系のシミュレーションが嫌いじゃない
  • 100時間とか超大作を求めていない

稲作とアクション、ストーリー、どこをとっても丹精に愛をもって作られたんだな、と思わせてくれるゲームでした。本当に途中ダレることなく一気にやりきった(やりきってしまった)ゲームでした。

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